みんなの冷蔵庫(仮)1
「大丈夫だよ。くららちゃんは何も考えないで入れて。俺が絶対出すから」

「シグマ……」

「俺が絶対に何もかも冷蔵庫から出してみせるから、安心して」


驚く程頼りがいのあるシグマのその言い方に、思いやりに、泣きそうな程胸が詰まった。

シグマだって不安なはずなのに。


「お待たせ」


京極が戻ってきた。
手にゲージを持って。


「次はこいつでやろう」


私は言いようのない嫌悪感に包まれた。

さっき、シグマが勇気付けてくれたお陰でやっと固まったはずの心が、早くも崩れる。


「やだ……動物実験みたいじゃない」


半泣きで京極の手にしたゲージの中のウサギを見る。
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