みんなの冷蔵庫(仮)1
京極はそのままうっすら笑いを浮かべ、視線を運転席に移した。


「佐田の朝食にあたっただけじゃないか?」


その軽い口調が神経を逆なでし、一気に頭に血が上る。

京極の横顔を睨み付けた。


「ふざけないでよ。こんなにきつそうにしてるじゃない!」


シグマが握られた手をギュッと握り返してきた。


「俺、大丈夫だよ」


その声を聞きまた涙ぐむ私を見て、京極はため息をついた。


「この辺で日曜に救急診療をしてくれるところはどうせ他にないんだ」


私は唇を噛んだ。

京極がシグマの事をどうでもいいと思ってる、とは思わない。ちゃんと一番いい方法をしてくれてると思う。

でも、私は不安で仕方ない。


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