みんなの冷蔵庫(仮)1
「しかもさっき電話したら、ついさっき交通事故の患者が三人も運ばれて来たそうだ」


京極が肩ごとこちらを向き、なだめるように優しい目をして私を見た。


「ただ待たされるより、半人前でも一応医者にさっさと見てもらった方がいいだろ?」


私は涙を堪え、唇をへの字に結んだまま頷いた。


「意識はあるし、いきなり死んだりしないからとにかく落ち着け」


そう言うと前を向き、携帯電話を手に話し出した。


「もうすぐ着くから、正面入口に車椅子用意して待ってろ」


スモークの貼られた窓の外に目をやると、交差点の先に大きな建物が目に入った。

「J大学附属病院」と大きく書かれた文字も見える。


「うるさいなぁ……いるいる、そこそこかわいいのが一緒にいるから、それで我慢しろ」


京極がイラついた口調でそう言って電話を切る頃、車は大学の門をくぐる。

ロータリーになった正面入口に着き、静かに停車する。

そこには白衣を着た長い髪の男の人が、車椅子の横に立っていた。



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