みんなの冷蔵庫(仮)1
「謙信! さっさと診察しないと、お前のガリ勉時代のダサい写真をそこら中にばらまくぞ」


京極は私の上に乗せられた手を叩き、従兄弟を睨み付けた。


「そんな事したらお前を刺して俺も死ぬ」


謙信と呼ばれた白衣の人は、車椅子を押しながら私達を振り返った。


「うちの病院研修医は外来やらないんだけど、日曜で宿直医しかいないし、めぼしい先生は救急に行っちゃったから僕しかいないし、仕方ないよね。でも正規にカルテつけて診察する訳にはいかないから、ヤバかったらちゃんと救急で順番待ちしてよ」


照明がついてないせいか、まだお昼過ぎなのに薄暗い院内に、謙信先生の声がよく響いた。

よく喋る人だ。


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