みんなの冷蔵庫(仮)1
痩せた背中を見ながら、まだ若いし、この先生で本当に大丈夫なのかと、不安になった。

謙信先生は「消化器代謝内科・外来」と書かれた一画の中の、手前の部屋に先に一人入り、電気を点け、また車椅子を押して中に入った。

私達も続けて入ると、謙信先生は首の後ろにさげた聴診器を耳に着けながら、車椅子の向かいにある椅子に腰掛けた。


「どこか痛い?」


シグマはうなだれたまま、謙信先生を見た。


「頭が少し。あと……お腹が空き過ぎて痛い……」


お腹が空き過ぎ?!

あんなに食べたのに?!

お昼を食べてから三時間も経ってない。こんな時にまでお腹が空き過ぎって、シグマの胃袋はどうなってるんだ、と不思議でならない。



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