みんなの冷蔵庫(仮)1
ただ入れるだけしかできない私。

必死に出す努力を、全ての責任を、背負うシグマ。

年上なのに、お姉さんだったはずなのに、私はただただシグマに励まされて。


「そうとも限らないだろ。単に入れるよりも出す作業の方がエネルギー消費が激しいのかもしれないし、もしかしたらあの光は体内のブドウ糖を使って発しているのかもしれない」


シグマの足元で椅子に座ったまま、京極が斜め後ろの私に向かって手招きをした。


「おいで」


私は二歩進み、枕元にある点滴装置の横に立つ。

京極は片手を伸ばし、私の指を軽く掴んで引いた。
引かれた勢いで自然と足が前に出て、腰くらいの高さにある硬そうな黒いベットのすぐ側にまで来た。


「とにかく、かなり集中力を要する事はわかったから、今後気をつけないといけないな」


京極は右手に私の手を掴み、もう一方はシグマの点滴針を刺した左手の上に添えていたけど、私の手をシグマの上に持って行き、さらにその上から自分の手を重ねた。



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