みんなの冷蔵庫(仮)1
スローモーションみたいに


私の唇中央に乗せられた。

指先のほんの先端が触れてるだけなのに、息が止まりそうな程ドキリとした。

開きかけていた上下の唇の、微かな隙間に置かれたそれを、危うく飲み込んでしまいそうな気がして、慌ててギュッと閉じると、かえって指を完全に唇で挟むことになってしまった。

心臓が跳ね上がり、必要以上に口を大きく開けてシグマの指を開放する。

な、何やってるんだろう私!!

どこを見たらいいのか完全に見失って、シグマの腕に繋がる点滴の管に視線を落とした。


「食べられちゃった」


シグマが手を繋いだ方の肘をついて体を横にしてこちら側を向き、引っ込めた右手人差し指をまじまじと見つめて言った。


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