みんなの冷蔵庫(仮)1
「お父さんの事思い出すかなって思うと、なんだかお母さんには聞けなくて」


動揺しながらも、おばさんのあの日の淋しい背中を思い出し、胸が縮こまる。


「会えて嬉しくて」


私だって。
私だってシグマに会えて嬉しいけど……


「ずっと好きだったから」


シグマが
繋いだ手に、指に、力を込める。

腕に盛り上がって浮かぶ血管が、男の子の象徴のようで……

それにドキリとする私もまた、完全に弟と姉ではいられない事を証明付けられたみたいで。

今の私の気持ちのやり場は、どこなんだろう。


「くららちゃんが好きだから、あの時つい本音が出て……キスして欲しかったって言いたくて」


シグマはそう言うと指の力を抜き、ゆっくり広げて解いた。


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