みんなの冷蔵庫(仮)1
またもや僕以外の男が選ばれてしまった事には、多少複雑な想いが残るが。

シグマの気持ちは分かる。

僕が母を求める気持ちに似ている気がする。


好きだから幸せになって欲しい。
幸せでいて欲しい。

けれど欲が出る。

一番の願いは彼女の幸せなのに、それ以外の願いが出る。


どうか自分を忘れないで

自分の気持ちを知って

せめて側にいて


僕はもう、母が恋しいなんて年齢でもないが……

シグマを見ると、揺さぶられる。


クリーニング店を曲がると、佐田の背中が見えた。


相変わらず色気のない背中だ。


< 434 / 491 >

この作品をシェア

pagetop