みんなの冷蔵庫(仮)1
野崎ちよみは堂々とした態度で腕を組み、にっこり微笑んだ。


「うん。見た。あれは綺麗だったなぁ。写真撮ればよかった」


遠くを見るような目をして、何度も頷く野崎ちよみ。


「僕が好きなのか?」

「いや、高く売れるかなと思って」

「売れっ……お前あの時迫ってきたじゃないか!」


そうだ。
あの時いきなり風呂場に現れ、裸の僕に抱き着いて来たくせに。

なんだこのふてぶてしい態度は。


「ええっ!!」


ガタガタと玄関の傘立てを薙ぎ倒し、激しい音と同じくらい動揺する佐田の驚愕の表情に、何かを感じる。


「なんだその反応は……さては佐田、お前も」

「いや、いや! 私は裸はっ」


佐田は傘立てを直しながらしどろもどろに答える。
怪しい。


「裸、は?」

「見せてくれなかったよね~ケチ」


すかさず野崎ちよみが割り込んだ。


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