みんなの冷蔵庫(仮)1
私がそう答えると、先生は小さく「へぇ」と呟いた。


「京極の方が、佐田さんを迎えに行ったの? 変なの」


先生はそう言うとベットから降り、シグマの肩を軽く叩いた。


「あまり根詰めて勉強し過ぎないようにね」


まさか「冷蔵庫の中からいろいろ取り出すのに集中し過ぎました」なんて言えない私達は、目を見合わせて苦笑いした。

シグマがベットから降りて靴を履いていると、謙信先生は急に小声で話し出した。


「ここに来たって事は、京極の親父さんの事知ってるんでしょ?」


私達はまた顔を見合わせ、どう答えてよいのか分からず、とりあえず頷いた。

先生は「やっぱりね」というような顔をして、ベットに腰掛けたまま足を組み、並んで立つ私達の顔を見た。


「いい年して失踪はないよね。どうせどこか女のとこ行ってるんだろうけど。早く帰って来ないと京極ぶっ倒れちゃうよね」


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