みんなの冷蔵庫(仮)1
「何でも好きなだけ食べろ。そして少し黙ってろ」

「やったー」


京極の呆れた声に、シグマは奥の大きなテーブルの上に置かれた、フルーツの盛り合わせみたいなお皿からリンゴを一つ取った。


「くららちゃん憶えてる? 俺すごーくリンゴ好きなの」


シグマはテーブルによじ登ったまま、真っ赤なリンゴをジーパンの太腿で拭いた。


「うん。憶えてるよ」


私がそう言うと、シグマは満足そうに微笑んでリンゴに噛り付いた。


< 59 / 491 >

この作品をシェア

pagetop