みんなの冷蔵庫(仮)1
「どうやって?!」


すぐ正面に立つ京極の両腕を必死に掴み、見上げた。

今、私の細胞は、別な意味で騒いでいた。

必死に記憶を遡るけど。

あの時確かに「消えた」テスト。


なぜ? どうやって?

そればかりが頭の中を駆け巡る。


「冷蔵庫を開けたんだ」


京極は子供をなだめるように私の手をそっと掴み、自分の腕から離してそう言った。


「俺、凄く練習したんだよ!」


リンゴを食べ終えたのか、駆けてきたシグマがそれこそ猿みたいに京極の二の腕に飛び付き、ちょっと照れくさそうにこちらを見た。



京極のしゃきっとしたシャツに、リンゴ果汁がべったりとついていた。



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