みんなの冷蔵庫(仮)1
「あの時、もう光は出さないでいようって約束したよね?」


できるだけ優しく、諭すように言ってみる。

シグマには威圧的に言う意味がないし。


「うん。でも、あの時くららちゃん『むやみやたらと光を出したら見世物小屋に売られちゃうんだよ』って言ったでしょ?」


言ったかな、そんな事……まあ、言ったんだろうな、とりあえずシグマを分からせたくて。


「今回自分から行ったんだ。話をまず聞いて、売られる事はないしいいかなって。むやみやたらでもないし」


シグマはそれはそれは純粋に瞳を輝かせて笑った。

高校生男子とは思えない、何とも無垢なその笑顔に、私の中の「シグマを問い詰めてやる!」て感情は完全に折れた。


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