みんなの冷蔵庫(仮)1
「おばさーん、お母さんがこれ……」


勝手口から繋がる台所に入り、ずかずかリビングまで歩いて行く。

もう日は落ちていたのに電気もつけてなくて、薄暗い。


「あ!くららちゃん!」


シグマがそう言うのが聞こえた。

抱きしめられた母親の腕の中で。

シグマは笑顔でこちらを見ているのに、シグマの母は立つ我が子をしゃがんで抱きしめたまま、こちらを見る事もなく、微動だにしなかった。

多分、泣いていた。



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