みんなの冷蔵庫(仮)1
次の日の下校途中、私はいつも通りのシグマに苛立ちながら言った。


「しーちゃんは私がいなくても平気なの?!」


シグマはキョトンとして、真ん丸の瞳で見上げてきた。


「くららちゃんがいなくて平気?」

「そう! これから一緒に登下校もできないし、しーちゃんの事『シグマントヒヒ』とか言う奴らにキックしてあげることもできないんだよ? しーちゃん一人なんだよ?」


自分は淋しい気持ちなのに、シグマはそうでもないようなのが腹立たしかった。

行きも帰りもシグマがあまりにもいつも通りだから、私はあんなにシグマに優しくしたのに、とか、同級生と遊ぶのを我慢した事だってあったのに、とか、恩着せがましい思いでいっぱいだった。



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