みんなの冷蔵庫(仮)1
「一人なの?」


シグマはランドセルを前にからったまま(そうするのが好きだった)首を傾げた。


「そーよ、このままだったら、あんたみたいな不思議ちゃん、誰も近寄らなくて一人なんだから」


言ってしまって、ちょっと言い過ぎたかな、と思いもしたが、シグマにはこれくらい言わないと伝わらない、と思い直し、続けた。


「だから二人で逃げよ!」


提案にシグマが頷いたかどうかは記憶にないが、私は彼の手を引き、自分達の家とは反対方向へずんずん歩いた。

時々寄り道する空き地へ着き、夜お布団の中で考えた計画を実行に移す。



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