カフェには黒豹と王子様がいます
 どうしよう、私!

 徳永先輩の手が私の腕にそっと触れる。

 いつものいじわるな感じと違って優しく、優しく触れる。

 どうしていいかわからなくて、下を向いた。

 そしたら触れていた手をそっと離した。

「ごめん、帰ろうか」

 徳永先輩は私の顔も見ず、裏に入ってしまった。

 そういえば、前もこんなことがあった。

 あの五人の高校生に囲まれたとき、震える私を、壊れ物のように優しく、優しく、そっと抱きしめてくれた。

 あのことがよみがえる。胸がぎゅっと苦しくなる。

 どうしたらいいんだろう。

 どう考えたらいいんだろう。

 徳永先輩もしかして……なんて、考えちゃっていいんだろうか。でも、私は本当はどっちが好きなんだろう。

 もうわからない!

 頭が混乱する。

 知恵熱出そう。

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