カフェには黒豹と王子様がいます
「え?」

「小野田に頭、触られて、恥ずかしそうにうつむく顔とか、もう見たくないんだよ」

 な、何言ってるの?徳永先輩……。

「今日子が明日からバイトに来るって知った時の、西口の顔とか見てると、たまらなくなる」

 私どんな顔してたんだろう。

「いっそくっついちゃえばいいと思って、小野田が倒れた時、小野田のところに西口を行かせたけど、二人でいる姿を見たら引き離したくなった」

「徳永先輩……」

「西口を小野田に渡したくない」

 徳永先輩が真面目な顔で私を見つめる。

 すごくドキドキする。

 徳永先輩がゆっくり私に近づいてくる。

 そっと、壊れ物を扱うようにやさしく、やさしく抱きしめられた。

 胸がキュンっと締め付けられる。
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