カフェには黒豹と王子様がいます
「あ、西口悪い。僕、ちょっと抜けるから」

「な、なにがあったんですか?」

「帰ってから説明する」

 そのまま見えなくなる徳永先輩。

「ごめんね、僕が抜けるわけにはいかないから」

 心配そうなマスター。

 
「西口!徳永どこ行ったんだよ、このくそ忙しい時に!」

「あ、今ちょっとトラブルがあって……」

「トラブル~?」

「恭一!しゃべってる場合じゃないよ!お客さん!」

「わりーわりー」

 今日子さんにちょっと睨まれた。

 徳永先輩がいなくなったのは、さすがにきつかった。

 もう2時間も戻ってこない。

 何があったんだろう。
 
 今日こそ、この前聞き損ねた今日子さんのことを、聞こうと思ったのに。
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