カフェには黒豹と王子様がいます
 怒涛の一日は終わり、結局、徳永先輩は戻ってこなかった。

 閉店準備していると、マスターがコックコートのエプロンをはずしながら来た。

「ごめん小野田くん、厨房の方はある程度片付けたから、あと鍵閉めて帰ってくれるかなあ?」

「結局何があったんですか?」

「うちのシュガーちゃんが、ああ、飼ってる犬なんだけどね、車にひかれちゃったらしいんだよ」

「え?そうなんですか?」

「うん、それで、元子が動転しちゃって、優くんに動物病院に連れてってもらったんだ」

「それで、大丈夫だったんですか?」

「さっきやっと連絡来て、命は助かったって」

「よかった」

「僕、病院行くから後よろしくね」

「はい」
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