カフェには黒豹と王子様がいます
 私はあわてて豊川くんに背を向けた。

 豊川くんは私を後ろから抱きしめた。

「僕が忘れさせてあげるよ」

「……やめて」

「僕、小野田さんに負けないくらい、かっこよくなるよ」

「お願い、やめて……」

「やめない!西口さんにこんなつらい思い、僕ならさせない」

「離して」

「離さない!」

「豊川くん!」

「僕、本気で西口さんの事好きだから。西口さんの一番つらい時に、そばにいたいんだ」

「豊川くん……」

「西口さん、好きだよ。好きだ。本当に。想いがあふれて止まらないんだ」
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