カフェには黒豹と王子様がいます
 小野田先輩は私の前にしゃがみ、私を見上げる。

「西口、俺、何かお前を傷つけたか……?」

 首を振ることしかできない私。

「ごめんな、わかんねえんだ俺。ごめん」

 首をふる。謝らないで先輩。

 もう私をそんな目で見ないで。

 想いがあふれる。

 私は立ち上がって竹本さんの方に行った。

「病室、戻る?」

 うなずく。

「小野田くん、今日は帰りなさい。ちょっと一人にしてあげて」

「……はい」

 小野田先輩の顔を見ることもできず、竹本さんと病室に戻った。

「でも驚いたわ。あの温厚な徳永くん、怒ると怖いわね~。いい男の怒った顔も、困った顔もいいわ~」

 そうだ、あの仲の良い二人があんな……。

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