カフェには黒豹と王子様がいます
 私は、紙とペンを出した。

『ありがとうございます。迷惑かけてごめんなさい。また、声が出るようになったら話を聞いてくださいね』

 そう書いて、竹本さんに渡した。

「迷惑なんて思わなくてもいいのよ。西口ちゃんが辛い時に、私に会いたがってるって聞いて、うれしかったんだからね。いつでも話聞いてあげるわよ」

 竹本さんが私の頭をなでた。


 私は経過を見るために1週間ほど入院という事になった。

 その間、豊川くんは毎日マスターのケーキを持って現れて、たわいもない話で私を笑わせて帰って行った。

 徳永先輩も、忙しい合間を縫って来てはくれているようで、いつも入らずに、小さなお花が置いてあった。

 看護師さんが、「背の高い人でしたよ」というから徳永先輩だとすぐに分かった。

< 206 / 443 >

この作品をシェア

pagetop