カフェには黒豹と王子様がいます
「フランス、がんばってきてくださいね。応援してます。ずっと、ずっと応援してますから」

「西口」

「もう行ってください」

 涙があふれて止まらない。でも、笑顔は崩さなかった。

 やっと本当の笑顔を、小野田先輩に見せることができた。

 小野田先輩はタクシーに乗った。

 もうこっちを見なかった。

 小野田先輩を見送るのが辛くて、顔をそむけた。

「徳永!」

 いつの間にか、タクシーの窓が開いている。

 遠くで見ていた徳永先輩が背を向けている。

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