カフェには黒豹と王子様がいます

　しばらく今日子が小野田の妹だってことは内緒にしておこうと思ったのは、まあ少しは小野田やめて僕にすれば？という思いがあったからだ。

　それは認める。

　夕方、今日子と小野田が帰ってしまって、西口と二人きりになった。

　からかった時あんまりかわいい反応をするから、ちょっと理性が飛びそうになった。



　西口に触れたくて、触れたくて仕方がない。

　博子さん以外の女に、こんな感情が湧いたのは初めてだ。

　自分の思う通り行動してみたくなった。

　……その時、あの高校生の事件の時の西口を思い出した。

　僕が触れることで、西口が怖がったりしないかな？

　震えたりしないかな。

　女に触れるときに、こんなことを思ったのも初めてかもしれない。

　ちょっとだけ触れるのが怖い。

　僕はできるだけ優しく、優しく触れた。

　西口がいとおしい。