カフェには黒豹と王子様がいます
 でも、マスターの出してくれたケーキは、フェア中に特別に作ったものばかりで、食べたことのないケーキがたくさんあった。

 うわ、気になってた、ピスタチオとカシスのムースだ。

 手を出そうとしたら、西口にとられた。

 ちっ

 まあ、それに目を付けたとはさすがだな。

 うう~、どんな味なんだ、き、気になる。

 じゃあ、こっちの、キャラメルとクルミのムース……は今日子にとられたよ。

 うまそうに食いやがって。

「やっぱり俺、本格的にケーキの勉強しようかな」

 ぽそっと一言言ったら、マスターが食いついた。

「いいよ!それいいよ!小野田くん向いてると思う。今までだってケーキの案もちょこちょこ出してもらってるし、手先も器用だし」

「ほんとね、恭ちゃんなら、すてきなケーキ作りそう」

 元子さんまで。
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