カフェには黒豹と王子様がいます
 その時扉をノックする音がした。

 ハッと我に返った。

 俺何やってるんだ。

 俺はパッと西口を離した。

「小野田くん、お客さん来たからお願いね」

 マスターの声だった。


 慌ててフロアに出た。

 接客をしながらも、別の事ばかり考えている。
 
 徳永がやっと博子さんを忘れようとしている。

 やっと、別の女……西口を、本気で想い始めている。

 なのに俺は……!

 だめだ!

 西口はダメだ!
 
 なんでよりによって西口なんだ。

 徳永、早くバイトに出て来いよ!

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