カフェには黒豹と王子様がいます
「な、なんで俺に言うんだよ」

 そういうことは徳永に言え!

 本当にこいつは、俺をイライラさせる天才だった。

 暇さえあれば、すぐに西口にちょっかい出しに行くし、俺のどなり声にも動じない。

「俺は、ああいうチャラチャラした感じのやつ、一番嫌いなんだ」

 
 ある日、西口と閉店の片づけが終わって、一緒に店を出ると、豊川が待っていた。

「あ!西口さん!……と、小野田さん。一緒だったんですかー」

「西口困ってるだろ?もうやめとけよ」

「やめられません。僕の気持ちは止まりませんから。西口さんは、まだ小野田先輩のこと好きなんですか?」

「な、何言ってるの?」

「あーそれとも、徳永さんかな?」

「やめてよ」

「僕にしましょうよ。大事にしますよ、この人より」

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