カフェには黒豹と王子様がいます
「やめて!」

 なんなんだこいつは、人の心の中にどかどかと入ってきやがって。

「いいかげんにしろよ」

「怖いな~小野田さん。小野田さんが西口さんの事、本気になってくれたら僕だって考えますよ。……ね、はっきり言ってくださいよ。小野田さんが西口さんをどう思っているのか」

 ムカついた。

「なんでお前にそんなこと言わなくちゃいけないんだ」

「あー小野田さん、うまくかわしましたね。西口さん、残念!」

 怒りが沸き上がる。

 俺は豊川を殴りそうになった。

 その時、西口が俺の腕をつかんだ。

「小野田先輩、帰りましょう」


 西口はそのまま、豊川が見えなくなるまで俺の腕をつかんでいた。

 おかげで豊川を殴らなくて済んだ。

だんだん怒りが収まってきたら、西口の細い指が気になってしょうがない。

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