カフェには黒豹と王子様がいます
 腕に西口の指に感触。

「そ、そろそろ離してくんないかな」

「ご、ごめんなさい」

「いや、いいけど」

 腕に残る西口の感触。

 想いを抑える。

 こいつは徳永が本気で好きになろうとしている相手なんだ。

 俺は……。

「西口」

 西口をじっと見た。

「俺はさ、西口も大事だけど、徳永も大事なんだ」

 何言ってんだ俺。

「……はい」

「徳永の気持ちはわかってる。だからお前に下手なこと言えねえ。わかるだろ?」

 うまく言葉が出ねえ。
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