カフェには黒豹と王子様がいます
 西口が俺に手を伸ばす。

 一歩、一歩、西口が近づいてくる。

 ダメだ!西口……西口……。

 俺の腕に西口の手が触れた途端、ダムが決壊するように想いがあふれた。

 もう止められない。

 俺は西口を強く抱きしめた。

 壊れるほど強く抱きしめた。

 西口が好きだ。

 西口が好きだ。


「小野田先輩……」

 西口の手の力が強くなる。

 ダメだ!


 俺は、西口から離れた。

「ごめん、西口。ダメだ!ごめん!」

 そう言って、走って帰った。

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