カフェには黒豹と王子様がいます
 そうだよな。

 お前の気持ちが痛いほどわかってるのに、聞いてしまったことを後悔した。

「まだふるえてるぞ」

 話をそらす言葉も見つからねえ。

「うん、に……西口が……死ぬかと……思ったから」

 俺は徳永の肩をぎゅっとつかんだ。

 お前……本当に、本当に西口を大事に思ってるんだな。

 本気で西口に惚れてるんだな。

 そのまま徳永は気を失うように眠った。

 もう俺は、いてもたってもいられず、マスターにメールした。

『何があったのか教えてください』

 マスターからすぐに電話があった。

 俺はそっと徳永のそばを離れた。

『僕も状況は分からないんだけど、裏で、怒鳴り声と大きな物音がしたんだ。そのあとすぐに「西口さん!」って叫ぶ豊川くんの声がして、見に行った』

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