カフェには黒豹と王子様がいます
「……そ、それで?」

『……に、西口さんが、頭……がら、血を流して……倒れていたんだ』

 ……!

『と、豊川くんは泣いて西口さんにすがっていて、ゆ……優くんは、呆然と……貧血を起こして……すごい汗で……』

 しばらく沈黙が続いた。

『とにかく、救急車を呼んで、店を閉めようと思った。倒れそうな優くんの頬をひっぱたいて、正気に戻した』

 言葉が出ない。

 俺はその場にいなかったが、徳永の気持ちが痛いほどわかる。

『小野田くん?小野田くん大丈夫?』

「……はい」

『今、優くんと一緒?』

「……はい」

『優くんを……頼むね』

 電話を切って、徳永のそばに戻った。

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