カフェには黒豹と王子様がいます
 ……ケンカ、したんだろうな、豊川と。

 それだけは分かった。

 たぶんそこに西口が止めに入って、巻き込まれた。

 そんなとこだ。

 ……怒りが沸き上がる。

 豊川に対しても……徳永に対しても。

 西口を巻き込んだ。

 何やってんだお前ら。

 ……ゆるせねえ。

 徳永の顔を見ていられなかった。

 俺は徳永から離れ、西口の病室の前まで行く。

 元子さんの後ろ姿が見えた。

 西口……西口……

 顔が見たい。

 元子さんが俺に気が付いて、こっちに来た。

「まだ病院にいたの?優ちゃんも……いるのね」

 うなずいた。

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