カフェには黒豹と王子様がいます
 徳永が口を開いた。

「昨日、小野田バイト休みだったから、大丈夫かなと思って講習終わった後、店に行ったんだ」

「うん」

「そしたら、泣きじゃくっている西口が、裏から出てきた」

 豊川が何かしたとしか思えなかった。

 ギリギリのところで切れそうなのを抑えているのに、怒りで体が震える。

「裏のソファに豊川が座ってて、……怒りが収まらなくなった」

「……てめえ、西口に何した」

 怒りが止められない。

 豊川につかみかかろうとするのを、竹本さんに止められた。

 豊川が俺を見て叫ぶ。

「お前のせいだよ。そうとしか考えられない!」

「何言ってんだ!」

 なんで俺なんだ!俺が何したってんだ!

「昨日西口さんは、泣きはらした目でバイトに来て、ずっと頑張ってたんだ。でも、あんまり辛そうだったから裏で休んでいいよって、言ったんだ」
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