カフェには黒豹と王子様がいます
 豊川が西口の手を握り、叫ぶように言った。

「だから言ったろ?こんなやつやめて、僕にしときなよ、西口さん。どうして泣いてたのか、本当の所は分からないけど、僕なら絶対にこんなつらい思いはさせないよ!」

「西口の手ぇ離せ!」

「離さない!」

 竹本さんどいてくれ!俺はこいつが許せねえ!

 その時、徳永が豊川の肩をつかんだ。

 表情は見えなかったが、相当怒っている。

「離れろ」

 豊川はパッと手を離した。

 徳永は西口の前にしゃがんだ。

「小野田となんかあった?」

 その言葉になのか、徳永が怒っているからなのか、西口の目から涙がこぼれた。

 もうやめろ徳永!
< 352 / 443 >

この作品をシェア

pagetop