カフェには黒豹と王子様がいます
「香織さんも、いつもそうやって笑ったらいいのに」

「え?私今笑った?」

「うん、めちゃくちゃかわいかったよ」

 香織さん、優のこと本当に好きなんだ。

 最初から分かってた。

 
 あの路地裏で、優が香織さんを襲っちゃいそうになってた時、香織さんはそんなに嫌がってなかった。

 一瞬、それで優の気が済むなら、見ないフリしようかとも思ったくらい。

 でも、優が西口さんの名前を呟いたときは、こいつサイテーと思って止めに入った。

 香織さんも相当ショックだったみたいだしね。

 ……ヤなこと思い出しちゃった。

 そうだよ、あの時初めて優に、強引に抱きしめられた。

「今日子……今日子……」

 って。
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