カフェには黒豹と王子様がいます
 なんとなく優を気にしていたあたしを、元気付けようとしているようには感じた。

「そんなんで伝わるか!」

 あたしは、ちょっとだけごまかした。

 でも、豊川は私の手を離さなかった。

 子供みたいにぶんぶんふる。

「僕さ、西口さんの次に、今日子さん好きだよ」

 と言ってにこにこ笑う豊川の顔を見ていたら、ふきだしてしまった。

「何よ、西口さんの次にって」

「西口さんは、僕の女神だからさ」

「じゃあ、あたしは何なのよ」

「なんだろう。飼い主?ワン!」

「何よ飼い主って」

「犬って、飼い主の事すっごく好きだろ?そんな感じ。ワン!」

「何言ってんの」

 しまった、ちょっとかわいいと思っちゃった。

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