なおやくんとぼく!
必要な存在
「1たす1ワニ」と言って、両手を上下に構えながら、なおや君は腕をワニの口の様にカパカパ動かした。なおや君のボケは意味がわからなくてつまらない。「そんなにカパカパしよったらワニ言うより酸欠の金魚やんけ!」僕のツッコミで教室は大爆笑。自分で言うのもなんだけど、僕のツッコミはテンポもタイミングも内容も最高だ。なおや君は僕のおかげで、面白い人というスタンスを維持できている。「ボケを生かすも殺すもツッコミ次第や。どんなおもろいボケでもツッコミがあかんかったら誰も笑わへん。逆にボケかどうかわからんような中途半端なボケもツッコミ次第で何万人でも笑わせられるんや」お父さんの口癖だ。僕は小さい頃からツッコミを教えてられて、中学生になった今ではヘタな芸人よりも上手くツッコめる様になった。「わかりませんねん灸」授業中に先生が出した問題になおや君が答えた。なおや君は本当につまらない。「せんねん灸とか中学生の使う単語とちゃうで!どんだけ肩こりやねん、自分若いのに」先生まで大笑いだ。なおや君も嬉しそう。教室はもう何を言っても笑ってしまう雰囲気だから、僕は普通のことをちょっとだけハイテンションで言う。「自分なに嬉しそうな顔しとんねん、問題わからんかった癖に!てゆーか先生!怒らな!この子できてませんよ!?算数できん子ですよ!?」こうなると教室は何を言っても笑ってしまう雰囲気だ。なおや君は勘違いしてつまらないボケを連発する。僕は芸術的なツッコミでそれをフォローする。なおや君には僕が必要なんだ。なおや君は僕無しではいられない。