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仕事を終えた後、俺は面倒くさいと感じながらも車を取りに行った。

きっとこのままここに置いとくと、絶対今夜も乗って帰れるような感じじゃないと分かっていたから。


運転席に座って、タバコを咥え火を点けた時、コンコンと窓をノックされる音に視線が向く。


覗き込むように流星の顔が現れると、俺は少し開いていた窓を全開にした。


「お前、一旦帰んの?」


俺の姿に視線を送る流星にコクンと頷く。


「車取りに来ただけだし。しかも作業着だしな」

「ふーん…。な、ところでさ、夜中一緒に居た女誰?」

「夜中?」


分かっていながらも、惚ける振りをし俺は外に向かって煙を吐く。


「やっぱ愛人なわけ?」


車体に背をつけて顔だけ振り向かせる流星は興味満開で問いかける。


「俺が愛人作る様に見えるか?」

「まぁ見えなくはねーな。けど、お前…あの子、綺麗な美咲ちゃんは?あっ、お前、両方かよ」


面倒くせーな、と思いながら眉を寄せる。

つか美咲は関係ねぇよ、別に俺の女でも何でもないし。

むしろ沙世さんだって…


「だから母親役っつっただろ」

「え、あれマジだったわけ?」

「あぁ。あの人は俺の亡くなった母親の親友だった人」

「あー…なるほど。つか俺、あの人よく見んだけど。この辺で…」

「まぁ、な。だってあの人何店舗も経営するホステスのママだから」

「うわっ、マジか。女社長かよ」

「あぁ」

「お前と居ると愛人にしか見えねーんだけど」


その言葉に思わず苦笑いが漏れる。

沙世さんは、そこまで派手じゃないけど、綺麗なオーラがあるのは確か。


23の俺と歩いてちゃそう思われるのも無理がない。

そしてふと思い出したことに、俺は口を開いた。
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