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「ほんと、口上手いのね」

「別に上手くねぇよ。本心言っただけだし」


フッと鼻で笑うと同時に、タバコを離した口から煙を吐き出す。

別に上手くなんてない。ただ本当の事を言っただけ。

リアは俺をここまでした女だから繋ぎ止めたいってのは確か。だけど、そう思ってても深くこいつにのめり込むような事はしたくない。

リアが俺に会いに来るのは自由。だけど、俺から″来い″と言ってしまえば、本当に俺にはこいつしかいないんだと思わされるからで。


だから俺は敢えて、ボトルを入れさせようとはしない。それはリアだけじゃなく他の女に対しても、俺の口からは言わない。

遠くのほうの席で盛り上げるルイとは別でいく。頭を下げて、ボトルを入れてもらうような事は意地でもしたくない。

そこが俺の変な意地と変なプライドで、それが時には後悔に押し寄せることもある。


どれくらいリアと居たのか分かんなかった。高級ボトルを次々と開けていくリアは今日も少ししかグラスに口をつける事なく、周りのヘルプの男達がボトルを咥えた。

それに加えて秒殺飲みをする俺は、やはり思ったよりも調子がでず、ここ数日間でどれくらい飲み干したのかも分かんなかった。


「無理っす…」


小さく呟いてしゃがみ込んだサトルに俺は背中を擦って、「バックヤード」と、小さく声を掛ける。

さすがに酔いつぶれる気持ちも分かる。

リアの酒は大量で、そのつぎ込まれた酒をヘルプが飲み干すも、減るのが追い付かないくらいだ。

サトルは彩斗に支えながらベックヤードに身を収めていく。
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