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正直、俺もどんだけ飲んだのか分かんねぇくらいだった。
だけど開けられた分は飲み干さねぇといけないっつー俺の変なプライドがまたイラついた。
リアが帰る頃にはテーブルの上に積み上げられた札束。
それがどれくらいなのかは俺には予想もつかない。
計算するどころか、酔いが回る身体に水を流し込み、俺はリアの後に着いて外に出た。
その心地いい空気に息を吸い込む。
気分わるっ、
「酔ってんの?」
駅に向かって歩くリアの足がピタリと止まる。
「あんだけ飲めばな」
「でも歩けてるから、それほどでもないんじゃないの?」
そうでもねぇし。お前と居る手前、ぶっ倒れる事なんて出来ねぇだろ。
そんな姿見せたくもねーし、見せる気にもなんねーよ。
お前が居なくなった瞬間、倒れる気、満々なのによ。
そんな事を思いながら、フッと軽く笑みを吐き捨てた。
「そんな事もねぇけど」
そこまで言って俺は口を紡ぐ。
「ねぇ、あれで勝てたかな?」
「さぁ…」
「さぁ…って、何よ」
案の定、リアは顔を顰めて小さく呟く。
今はそれどころじゃねーよ。酒が回って何も考えたくもない。
その酔いを追い払おうとポケットから取り出したタバコを口に咥えた。
そうした事で酔いが醒める訳じゃねーけど気を紛らわすのは出来る。