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「あー…まぁ。で、そんな所で何してんの?」
「それは美咲から聞いた方がいいと思います」
「美咲から?」
「はい。あたしが言うより美咲から聞いた方が…」
つか、アイツがそんな事、話すのかよ。と思いつつ平然さを偽る。
「そっか。場所って何処?」
「桜橋駅にある美術館です」
「あー…あそこね」
「では、あたしは帰るんで」
「ありがとう。気をつけて」
ニコッと微笑んだ葵ちゃんが背を向け、俺はその逆方向に足を進めた。
大通りでタクシーを拾い、一旦家まで帰る。
帰って速攻シャワーを浴びた俺はすぐにマンションを出た。
「…暑っ、」
久々に乗る車のドアを開けた瞬間、中から物凄い熱気が肌に伝わる。
思わず顔を顰めた俺はエンジンを掛けエアコンを最低にまで下げた。
車内の熱が下がるまでタバコを咥えたまま車体に背をつけ携帯の画面に視線を落とす。
…12:50。
映し出される時間に一息吐き、とりあえずもう一度電話するも美咲は出なかった。
つか、美術館で何してんだよ。
そもそも美術館ってガラじゃねぇだろ。なんて思いながら冷えてきた車内に乗り込み車を発進させた。
まだ居るか居ないかなんてわかんねぇけど、とりあえず向かう。
アイツの事は未だ良く分かんねぇけど、何故か気になって仕方がない。
自分にでもビックリするほどアイツに関心する俺は何故か呆れたため息が口から漏れた。