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「って言うかお前、俺の事なんも知んねぇだろ」
「いやいや、これでも俺が一番よくお前の事は知ってっけど」
「……」
「まぁ、あれだよ、あれ。美咲ちゃん想う気持ちが高ぶって他の女相手する気も起こらねーって奴か」
そう言って流星はクスリと鼻で笑った。
「だからそんなんじゃねぇし」
寝ころんでいた身体を起し、テーブルに置いてあったタバコを口に咥える。
火を点けて吐き出した煙を見つめる様に俺はソファーに深く背をつけ天井を見上げた。
「で、その気持ちを消し去る様に必死に真面目に働いてるっつー訳で――…」
「あー、わーったわーった。もういい」
遮る様に言葉を吐き出し、煙を深く吸い込んだ俺に、流星は面白おかしく笑いだす。
まじ、調子狂うわ。
だけど、流星が言ってた事が少しだけ当たっていて、正直何も言い返せなかった。
想う気持ちが高ぶる。まではいかねぇけど頭に過るのは確かだ。
なんでそこまで美咲のことが、、
どうにかしてんな、俺。
「まぁ、あれだな。高校生にしてあんだけ美人だったら、色んな男に持ってかれるだろーな。彩斗も絶賛してたし俺が初めに出くわしてたら俺のもんにしてたと思うよ?」
「…だから?」
「だから俺が言いたいのは、女扱うホストの分際で何をそんなに消極的になってんのかも分かんねぇって事。そんな姿初めて見るお前に、マジ笑える」
「お前、結局は俺の事、馬鹿にしに来たのかよ」
立ち上がった流星のお尻を足で蹴ると、更に流星は笑いに返る。
その姿に軽く舌打ちをし、ソファーに深く背をつけ天井を見上げたまま深く息を吐き出した。