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どれくらい寝たのかも分かんなかった。
時刻は16時。
逆に寝すぎて頭が痛い。
重い頭を冷やすためにシャワーを浴びる。
浴び終えた後、すぐ俺はタバコに火を点けた。
そして部屋中を見て思わずため息が零れる。
ここ最近ずっとトビとホストの仕事を無我夢中で頑張ってた所為か、部屋の中が自棄に荒れている事に気付く。
洗濯をした服も畳んで片付ける余裕もなくソファーに掛けっぱなしになっていて、食べたものもそのままで、その光景を見ただけでもため息が出る。
やべっ、普通の生活しねぇと。って、その普通の生活っつーものが俺には分からない。
もうかれこれ5年もこんな生活をしてると何が普通で何が普通じゃないのかって事も分からなくなる。
むしろお袋が亡くなって7年。一人の生活に慣れたとはいえ、それが時に重く感じる事がある。
もう少し吸えるタバコを押しつぶし、俺はスーツに着替え腕時計を嵌めた。
香水を吹きかけ髪をセットすれば、自分の中でホストと言うのが仕事だと思える。
だがあれほど着ていた白のスーツは殆ど着なくなっていた。
ほんっとたまに着るくらいで、自分の中で黒が落ち着く。
むしろもう私服でもいいんじゃねーかって思う。
だが私服だと本当に仕事だとは割り切れなくなってしまう。
大通りでタクシーを拾って店まで行く。
店に入って冷蔵庫を開け、そこからウインターゼリーを取り出した。
「楓さん、今日早いっすね」
気怠い声を出してきたのはアキだった。
だるそうに欠伸をし、近くにあった椅子に腰を下ろす。