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「当たってるから避けるんだ」
「当たってねぇわ。勝手に人のプロファイリングすんな」
「そう?ひとつ言うなら適度に接するしかないよね。ガツガツいくと引くもんなー…ホストだからこそ馴れ馴れしいって思うしね。でも全く連絡しないのもダメだよねー…女いっぱいいるから私なんかに眼中ないよね。って思うしさ。適度な距離感って言うの、ほら――…」
「つかお前は何だよ、なに語ってんだよ」
「だってアンタが珍しく困ってるから」
「困ってねぇから」
「そう?久しぶりに会ったらアンタ上の空だから」
「はいはい。勝手に言ってろ。食わねぇんだったら俺が食うぞ」
「あー、もお!あたしの食べる肉ないじゃん」
「頼めよ」
「あたしお金もってない」
「俺が払うから」
「やったー、ありがとう」
結局お腹いっぱいに食ったものの、その美味しさの味がユカの所為でいまいち分からなかった様な気がした。
帰ってからも、その疲れが残ったままスーツに袖を通し、タバコを咥えてベランダへ出る。
街並みを見渡しながら、何故かユカの言われた言葉が頭の中を掛け巡り、美咲が浮かぶ。
美咲の事を言われてるような気がして、心の中は何故かモヤモヤとしていた。
そんな美咲と出会ったのはその日から一週間後だった。