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「大丈夫?」
その心配されている言葉に俺はフッと鼻で笑う。
「全然平気。ちょっと胃が荒れてるだけ」
「胃?」
「そう、胃。飲みすぎってやつ。ほら…、毎日大量に飲んでっから胃にきてんだわ」
馬鹿だろ?なんて思いながら苦笑いが漏れる。
飲み過ぎは本当の事。
だけど、それ以上の事は何も言えない。
酒を飲む限り薬は一生もの。なんて言葉、言えない。
だったら辞めればいい。と言うのが最終的な結論になるだけだから。
敢えて、こんな事、美咲になんて言う必要はない。
「本当に?」
未だ信じられないのか、美咲は表情を崩したまま俺に視線を送っている。
「あぁ」
この話は終わり。
むしろ終わりにさせたい。
長々と話していたらキリがない。
まだあと少し吸えそうなタバコを消し、俺は消えるようにと脱衣所へと向かった。
髪を乾かし整える。
そして頭の浮かぶのは美咲の顔。
どうしてあんな顔をすんだろうと。関係ねぇ俺にそんな沈んだ顔をされると困る。
俺が薬を飲もうがそんなどうでもいい事。
アイツには関係ねぇ事なのに。
だけど、部屋を掃除しろっつったってアイツが来るわけない。
他の女なら喜んできたとしても美咲は来ない。
自分から追っかけていかないといけねぇって、こう言う事なんだろうか。
何かをして繋ぎ止めておかないと、きっと居なくなる。
髪を整えた後、俺は寝室へと入って、引き出しからもう一つの鍵を取り出した。
まだ一度も使っていない合い鍵。
そんな渡す奴なんて今まで誰も居なかった。
この部屋に、この領域に人を入れたくないと思っていた俺なのに…
それをポケットに突っ込みリビングへと行く。ソファーにある黒シャツに袖を通し、テーブルに置いていたタバコとライターをズボンのポケットに突っ込む。
それと同時に俺はさっき入れた鍵を取り出した。