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「楓さん、はよっす!」
暫くして能天気なアキの声が耳を掠める。
「はよー…」
「あれ?元気ないっすね」
「なぁ、お前って休みの日って何してる?ツレとどんな所に行ってんの?」
「休みっすか?ほぼ寝てます。あ、時間あればパチンコっすね」
「……」
「え、なんすか?」
「いや、聞いただけ」
「もう、何すかー?楓さんがそんな事聞いてくんの珍しいから気になるじゃないっすか」
「いや、うん。いい」
アキに聞くのが間違いだった。
なんとなくアキに一応聞いてみたものの、アキらしい答えが返ってきたことに、聞いた俺が間違いだったと気づく。
「楓さんの意味深、気になるわー。楓さんって、たまに意味深発言しますよね?」
「そんね事ねぇけど」
「いや、最近は結構してますよ?つかもう俺、振られてからそんな気分じゃないんすよ」
「あれから随分経ってっけど」
「俺、吹っ切れないタイプなんです」
「へー…」
「だからお客さんに癒しを求めてて…」
「癒しねぇ…」
考えるように俺は天井を見ながら深くタバコの煙を吐き出した。
癒し求めるにも別の場所で求めたい。
って言っても今の俺には無縁の事。
「楓さんも求めたくなるっしょ?」
「…若いっていいな」
フッと鼻で笑ってタバコの火を消す。
「はい?楓さんも十分若いじゃないっすか?」
「いや、俺はもうだめ」
「はいぃ?もう今日の楓さん意味わかんないっすね。病んでるんすか?」
「そうかも」
「やばいっすね、それ」
両腕を上げ、伸びをする。
現場仕事との両立が、最近なぜか堪える。
疲労感と言うか、今まで味わったことない様な疲れ。
その疲れを、ここで求めようなんて思わなければ、求めたいとも思わない。