Domain
その日から治ったと連絡が来たのは1週間後だった。
結局バイトを休んだのは次の日だけらしく、バイト後はほぼ寝てたらしい。
そもそも風邪を引いたのは、疲労だろうが。
時間減らせと言ったところでアイツは減らさない。
それどころか風邪が治ったと思えば、また毎日のようにバイトに行き、俺の日程も合わず、出会えたのは更に1週間後だった。
「なぁお前。美咲ちゃんとは結局どうなってんの?」
「……」
真剣に問いかけて来る流星に、タバコを咥えながら軽く首を傾げる。
「俺さ、この前お前と美咲ちゃんが一緒に居る所、見たんだよな繁華街で」
「へー…」
「なんか訳あり?」
「訳ありだったなー…」
記憶を辿るも、諒也との喧嘩のシーンしか頭に入って来ない。
むしろ美咲と諒也が繋がってる事に正直驚いて、それまでの記憶がぶっ飛びそうな勢い。
結局、喧嘩の理由は知らねえけど、聞いたところで俺には関係ない。
つーか、諒也もまじ懲りねぇなぁ…
「え、訳ありって何?お前が女連れて歩くのって珍しいじゃん。あ、アフターとかじゃなくてプライベートでって意味だぞ」
「なぁ、諒也ってさ、まだ輩とつるんでんの?」
「え、諒也?」
「あぁ」
「んー…あいつ敵多いからなぁー…恨まれすぎだろ」
クスクス笑う流星はテーブルにある俺のタバコの箱から一本取り出し、それに火を点けた。
「いい加減、足払っとかなきゃ面倒くせー事になんぞ」
ましてや女がいんのに。
むしろその女が美咲の友達。
葵ちゃんだったなんて、余計にビックリするわ。
「なんだよ、それ。お前の実体験でも語ってんの?」
「いや、そうじゃねぇけど…」
「むしろ、それをお前が言うなって話だかんな。お前、ここで働きだした当時、お前に恨み持ってる奴らが結構押しかけて来てただろ」
「あー…そんな事もあったな」
「すげぇ迷惑だったし、上から辞めさせろって凄い言われてたしな」
「あー…辞めてたら俺、今頃何してんだろ」
「知らねーよっ、」
「ま、でもあれだな。何かのきっかけがなきゃ人は変われねぇしな…」
「は?何お前。最近、たまによくわかんねぇ事言うよな」
「そうか?」
流星の話を適当に切り上げ、その場から離れた。
美咲と出掛けた事は何故か物凄く新鮮だった。
だけど、それとは反対に美咲の気持ちが知りたくなる。
だからって、それを聞いたところで、どうしろと、、